園芸家12カ月
カレル チャペック, Karel Capek, 小松 太郎
本を読んで全く園芸家って奴はー!と呆れながら笑ってしまいましたよ。
園芸家というほどではありませんが
園芸家に少し親近感を抱いている私にとっては
本当に面白かった本です。
園芸家というのは文字通り園芸が好きな人達なのですが
園芸に心血を注ぎすぎるあまりに
隣の家の園芸家に闘志を燃やしたり、留守番を頼んだ人を罵倒したり
珍しい植物を注文しすぎて植える場所を考えなかったり
土を柔らかくするつもりで球根を潰したりします。
しかし本当に植物のことしか考えていないので、何か憎めないのですよ。
作者はそんな園芸家の12ヶ月をユーモラスに書いています。
作者も、もちろん訳者もそんな園芸家で
園芸家であるということを楽しんでいるふしがあります。
作者のすんでいるところではオーソドックスな植物でも
日本ではなじみの無い植物には
丁寧に注がつけられているというのも良いですね。
名前が気になる植物はついつい図鑑で調べてしまいました。
訳者によると作者の住んでいたチェコは
北海道より夏涼しく冬寒いところだそうですが、
やはりそこだと生える植物は違うんですね。
シャボテン信者のところ、多肉植物に惹かれている私にとって
耳が痛く、かつ一番面白かった箇所でした。
ネットや本で同じ植物なのに
水のやり方や育て方に違うのはなぜかと思っていましたが
信仰する宗教の違いなんですね、納得しました(笑)
作者は本当にこういうところのユーモアがうまいですね。
作者の兄が書いた絵がページのあちこちにあるのもいいですね。
この作品は無声映画か
作者の兄の絵のタッチでアニメ化して欲しいですね。